今日、通勤電車で交わされるさりげない話、またはおそらく同僚や知人との会話の内容は、大抵の場合、世界危機に対する私達の懸念についてです。話は、通勤費用、昼食の値段、又はいい職業がないことなどに始まり、必然的にもっと大きな懸念の話になります。食品に含まれる人工添加物、うつ病や豚インフルエンザなどの病気、世界的な不景気、地球温暖化などによる異常気象、地震などの自然災害、そしてテロや戦争などの暴力行為についてです。大抵の場合「いったいこの世界はどうなってしまうのだろう」といった言葉で会話がくくられます。

 

カバリストは、私達の直面している全ての危機には、たった1つの理由しかないといいます。それらは、自然の力の全体と私達の間にバランスが保たれていなく、それをバランス状態に戻さなければならないことを、私達に気がつかせているというのです。実際、自然におけるその他のすべてのものは、愛とレシプロシティー(相互依存・相互利益)の原則を守りながら、完全に調和して存在しています。そして世界との不均衡を招いているものは、人間のエゴだけです。

 

しかしエゴは人間の先天的性質であり、どんなに努力しようがエゴを消滅させることはできないとも、カバラは説明します。したがって必要不可欠な自然との均衡をもたらすには、私達のエゴの使い方を正すだけでよいのです。その意味は私達の全行為に対して今とは違う意図を発達させることです。それは自然すべてを包括する全体的な力と私達をバランスに導かせる、愛と授与(与えること)の意図のことです。

 

今日ほど、この意図と意向を発達させて、エゴイズムの使い方を正すのに絶好なタイミングはありません。Annie Leonard氏の『The Story of Stuff』は、米国の現在の消費率における驚くべき統計事実と、私達の人生に及ぼすその影響について発表しました。例えば、世界の全人口の約5%を占める米国は、 過去30年で世界の天然資源の3分の1を消費しました。さらには、企業が構成する最大世界経済の 51%を使い、私達は、人間のアイデンティティーにおける最高の価値として、世界中で生産し、消費を促しています。しかし疑問があります。世界はより幸せに、平和に、そして安全になりましたか?

 

そうなっていないということが事実です。その原因は単に自然の相互授与という法則と正反対な私達人間のエゴイズムによるものとカバラは説明します。したがって私達の利己的な目標や意図を奨励することは、世界危機を深刻化させ、私達の苦しみを長引かせるだけです。

 

私達の経験は危機の解決方法を開発した時でさえ、それが無効果であると判明し問題が悪化することを示してきました。この理由は、私達が現在の人間性( 正されていない人間のエゴイズム )の中に留まる限り、ポジティブな変化をもたらすことが不可能であるということを、いつか自覚せざるをえない運命にいるからです。

 

確かに、世界危機を本当に自覚する日は、かなり近いといえます。しかし重要なことは、私達が授与という自然法則を、自ら進んで自発的に従うようになって初めて、危機の解決に本当に取り組むことができるということです。そうするためには、私達の性質の正しい使い方を学ばないといけません。そしてそれこそがカバラの英知が教えることなのです。

 

Last Updated (Tuesday, 07 June 2011 08:56)